画像提供:運輸安全委員会

国の運輸安全委員会は、2021年2月18日(木)、川崎市東扇島南東沖の東京湾内で2019年10月に発生した貨物船「JIA DE」の沈没事故について、船舶事故報告書を公表した。

この沈没事故は、2019年の台風19号「令和元年東日本台風」が関東地方へ接近する10月12日に発生したもので、同船は台風による風、波を受け、右舷傾斜して横転、船内に浸水して21時39分ごろ沈没した。船長と乗組員3人は救助されたが、別の乗組員8人は死亡した。

事故報告書によると、沈没の要因となった最初の浸水は、台風により増勢した風・波で体が動揺する状況下において、波の打ち込みにより上甲板に滞留した海水が貨物倉に浸水し始めたことに端を発したものとみられている。

その後、同船は操舵不能となったためにさらに左舷側から波の打ち込みを受け、船体が傾斜、貨物倉への浸水が続いたため復原力が低下し横転、さらに貨物倉内への浸水が進行して沈没に至った。

甲板に滞留した海水が貨物倉に流れ込んだ事象は、貨物倉通風筒の開口部蓋が「開」の状態となっていたこと、また、貨物倉のハッチカバーにおいてドレン受けの破口・変形があったことから、貨物倉の風雨密が保持されていなかったことによるものと推定されている。

運輸安全員会は事故の調査結果を踏まえ、「JIA DE」の旗国であるパナマ共和国海事局に対し、同国船籍船の管理者や所有者に対し、荒天時は暴露甲板における貨物倉等の開口部を閉鎖するよう指導することなどを要請・勧告した。


情報発表元:運輸安全委員会 - 船舶事故報告書 MA2021-2
 
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