
海上幕僚監部は2026年4月24日(金)、2024年11月10日(日)に発生した海上自衛隊の掃海艇「うくしま」の火災・沈没事故について、事故調査結果を公表した。
事故は、機雷戦訓練(日向灘)に参加するため下関基地を出港し、志布志に向けて福岡県宗像市大島沖を航行していた掃海艇「うくしま(MSC-686)」で発生したもの。「うくしま」は同日7時35分に下関基地を出港、9時42分に機械室火災が発生し、9時43分に防火部署が発動されたが、艇内電源を喪失した。13時59分に火災鎮圧とされたものの、実際には鎮圧しておらず、14時50分に火災が再燃した。15時5分に自隊消火不能と判断され、15時30分に総員離艦を開始し、乗員は僚艇「とよしま」へ移乗した。15時48分に投錨し、翌11日(月)8時32分に全没が確認された。
この事故では、機械室当直員2人のうち1人が死亡、1人が負傷した。12月25日(水)にはサルベージ作業で「人骨」のようなものが発見され、後の検視で人骨と確認された。12月27日(金)、海上保安庁による身元確認の結果、事故者のものであることが判明し、死亡が認定された。2025年6月7日(土)には、サルベージ会社により「うくしま」の船体主要部分が揚収された。「うくしま」は10月8日(水)に除籍され、同日、第43掃海隊も廃止された。
海上自衛隊は、事故発生当日の11月10日(日)、海上幕僚監部監察官を委員長とする艦船等事故調査委員会を設置した。11月12日(火)からは海上保安庁福岡海上保安部が捜査を開始し、同日、国土交通省運輸安全委員会も事故調査を開始した。
調査結果では、火災発生の原因について、機械室上部の発電機の戻り油管フランジ部から燃料油が漏えいしたものと推定された。運転中だった3号、4号主発電機の戻り油である軽油が、機械室内2号主機の上部に配管された戻り油管を通過する際、フランジ部から漏えいし、2号主機上部の排気集合管カバーに落下、滞留、その後、カバー内部に浸入し、防熱材内部に浸透して、排気管高温部に触れ発火に至ったと推定されている。
電源喪失の原因については、機械室上部の第2発電機室に黒煙が多量に流入し、配電盤内の気中遮断器が放電短絡を生じたことにより、艦内電源が喪失したと推定された。電源喪失により、艦内マイクと消火海水ポンプが使用不能となり、遠隔での主機停止も不能となった。
事故者の死亡原因については、火災発生後に初期消火を実施したこと、煙による視界不良、火災による熱が挙げられている。調査結果では、同事故について、極めて稀な事象が同時並行的に発生した事故であったと認められるとしている。
自艇による消火ができなかった原因としては、艦内電源喪失時の主機等停止要領の習熟が不十分だったこと、燃料供給遮断弁の遮断操作が不十分だったこと、機械室火災時の消火要領が不十分だったことが挙げられた。機械室火災に関する知識と実際的な訓練、火災鎮圧の判断、鎮圧後の処置要領にも不十分な点があったとされた。煙突から継続的な発煙が認められていたにもかかわらず、移動通風機による排煙を実施した結果、火種に酸素を供給し、機械室内が再燃した可能性があるとしている。
また、安全管理と訓練管理について、艇長の指揮監督が不十分であり、機械室火災、電源喪失時の訓練管理と応急器材の格納状況に課題があったとされた。隊司令についても、効果的な教育訓練に関する指導監督が不十分だったとされた。
事故の防止方法に関する意見では、火災発生防止策として、燃料戻り油管フランジ部の改修、主機の排気集合管カバーの遮蔽対策強化が示された。応急能力の強化では、機械室火災に対する知識、各種消火法、鎮圧後の処置に関する教育の徹底、機械室火災と電源喪失を想定した実際的訓練の徹底が挙げられた。このほか、応急器材の整備では装備位置の分散、小型艦艇などの対処要領では可燃性の船体の特性を踏まえた消火要領の検討が示された。被害拡大を防止するための対策として、炭酸ガス消火器の追加装備、高圧噴霧消火装置の装備、ラッタルのステンレス化、無停電電源装置の装備が挙げられている。
情報発表元:海上自衛隊 - 掃海艇「うくしま」における火災事象について(最終報)








