画像提供:運輸安全委員会

運輸安全委員会は、2025年10月30日(木)、福岡県宗像市大島沖で2024年11月10日(日)に発生した掃海艇「うくしま」の火災事故に関する調査について、経過を報告した。

この事故は、海上自衛隊佐世保地方隊下関基地隊第43掃海隊に所属する掃海艇「うくしま(MSC-686)」が、鹿児島県志布志港に向けて航行中、同日9時40分頃に機械室から出火したことで発生した。艇長を含む乗組員36人と第43掃海隊司令部の4人が乗船していた同船は、訓練への参加を目的に山口県下関市の基地を7時35分頃に出港し、響灘を経由して日向灘方面に向かっていた。

火災発生後、同船による消火活動に加え、同行していた掃海艇「とよしま(MSC-685)」と来援した巡視船による放水も行われたが、火勢は拡大して消火が困難な状況となった。このため、同船は15時43分頃に宗像市大島神崎鼻の北西約1,700メートルの海上で投錨し、全乗員が離艦した。火災当時、機械室で当直を務めていた乗組員2人のうち1人が行方不明となり、もう1人が煙を吸い込むなどして負傷した。

その後、同船は11日(月)0時5分頃に投錨地点付近で転覆し、8時34分頃に沈没した。2024年12月25日(水)には、沈没地点周辺の海底で人骨が発見され、鑑定により行方不明だった乗組員のものであると確認された。2025年6月7日(土)には、同船の引き揚げが実施された。

運輸安全委員会は、2024年11月11日(月)に主管調査官を含む2人の船舶事故調査官を指名し、これまでに関係者からの口述聴取、船体調査、運用管理に関する情報収集などを進めてきた。今後は、これまでの調査で得られた情報をもとに、火災が発生した経緯をはじめとする事実関係の確認や分析、関係者からの追加的な意見聴取を行う必要があるとしており、運輸安全委員会は、これらの作業に時間を要することから、事故発生から1年以内に調査を完了することは困難であると見込んでいる。

同船は2001年9月に進水した木造掃海艇で、全長54.00メートル、幅9.40メートル、深さ4.20メートル。ディーゼル機関2基(合計出力1,324kW)を搭載し、可変ピッチプロペラ2基を備える。2025年10月8日(水)付で除籍となっている。

火災発生時の気象条件は、11月10日(日)10時00分時点で天気は晴れ、気温20℃、風向は南東、風速は約4m/s、視程は約10km、波高は0.1〜0.5メートル。

運輸安全委員会は、事故の責任追及を目的とするのではなく、事故の原因と被害の要因を明らかにし、将来の事故防止と被害軽減に役立てることを目的として、引き続き調査を進める方針。


情報発表元:運輸安全委員会 - 船舶事故調査(掃海艇うくしま火災)について (経過報告)
 
【関連ジャンル】
 船舶 : MSC-686 うくしま
 海運事業者 : 海上自衛隊