画像提供:海上保安庁

海上保安庁は2025年12月4日(木)から2026年4月6日(月)にかけて実施される第67次南極地域観測において、新たな取組みとして、AIを用いた海底地形データの解析・処理を実施する。

南極・昭和基地周辺の海底地形調査および潮汐観測のために派遣されるのは、海洋情報部沿岸調査課の金子直道沿岸調査官で、12月4日(木)にオーストラリアのフリーマントルから海上自衛隊の砕氷艦「しらせ(AGB-5003)」に乗船し、約4カ月にわたり観測業務に従事する予定。

南極地域周辺の海図は国際水路機関(IHO)の加盟国が分担して刊行する体制となっており、日本は海上保安庁が昭和基地周辺を担当している。現地では、海底地形の測量と潮汐観測を実施し、その結果を基に海図の補正を行う。これらの海図整備は、同地域を航行する船舶の安全確保を目的としたものであり、海上保安庁ではこれまでにも定期的に職員を観測隊へ派遣してきた。

今回新たに実施されるAIによるデータ解析・処理は、これまで手作業で行っていた不良データの識別・削除を自動化するもので、解析処理の時間を大幅に短縮できると見込まれている。効率化されたデータ処理は、他の隊員が行う観測業務の効率化への貢献も見込まれている。

観測で得られたデータは、海図の更新だけでなく、南極地域における海面上昇の要因解明や古代の地球環境の研究など、幅広い科学的分析にも活用される見通し。海上保安庁では、今後も観測技術の高度化と業務効率の向上に向けた取り組みを継続する構え。


情報発表元:海上保安庁 - 海上保安官、極限の地へ出発
 
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 船舶 : AGB-5003 しらせ
 海運事業者 : 海上保安庁