
川崎市は2025年10月4日(土)、全国の官公庁として初めて電気推進方式を採用した清掃船2隻「つつじ」と「みらい」の完成記念式典を川崎市船客待合所前で開催した。今回建造された2隻は、建造から40年が経過している「つばき」、建造から61年が経過している「第一清港丸」の後継として導入されたもので、川崎港内の浮遊ごみを効率的に回収する目的で運用が開始される。
新たに導入された清掃船は、100%電気で航行可能な船舶、二酸化炭素排出量を年間約45トン削減できる見込み。川崎市が2023年9月に策定した「川崎港港湾脱炭素化推進計画」に基づき、2050年までの温室効果ガス実質ゼロ実現に向けた施策の一環として建造された。建造に際しては、地元高校生が船体カラーをデザインし、市民公募により命名が行われた。
清掃船「つつじ」は、船体前面に装備されたローターによって大量の浮遊ごみを収集できる双胴型の清掃船で、船体は耐食アルミニウム合金を使用。全長13.0メートル、総トン数17.0トンで、80kWの主機関を2基搭載、最大速力は7.6ノット。バッテリー容量は417kWhで、6ノットで約10時間の航行が可能。ごみの収容能力は約15㎥(約3トン)で、建造費は約4億6,500万円。
一方、小型作業船「みらい」は、狭い水域や桟橋下、岸壁沿いなど、他の船が進入困難な場所での浮遊ごみ収集に特化しており、単胴型のFRP船体を持つ。全長11.25メートル、総トン数4.9トンで、48kWの主機関を搭載し、最大速力は約13ノット。バッテリー容量は72kWhで、6ノットで約7時間航行が可能。ごみ収容能力は約3㎥(約0.6トン)で、建造費は約6,600万円。
記念式典には、川崎市長の福田紀彦氏をはじめ、川崎市議会関係者や川崎港運協会、川崎清港会関係者のほか、船体デザイン制作者や船名考案者も出席した。
川崎市は港湾法に基づく海面清掃業務を公益社団法人川崎清港会に委託しており、作業は月曜日から金曜日の午前と午後に実施。大量のごみが発生した場合には、作業時間帯に関係なく対応を行っている。収集されたごみはクレーンで陸揚げされ、作業員の手作業により一般廃棄物と産業廃棄物に分別され処理されている。
情報発表元:川崎市 - 官公庁としては全国初となる電気推進の清掃船が完成!【関連ジャンル】 港湾 : 川崎港