
商船三井は2025年9月8日(月)、硬翼帆式風力推進装置「ウインドチャレンジャー」4基を搭載する新船型LNG運搬船について、英国のロイド船級協会(LR)から基本設計承認(Approval in Principle:AiP)を取得したと発表した。
今回AiPを取得した新船型は、韓国・ウルサンに本社を置くHD現代重工業(HHI)と、韓国・ソウルに本社を置くサムスン重工業(SHI)との共同開発によるもので、HHIと共同で開発した船型についてはマーシャルアイランドから、SHIと共同開発した船型についてはリベリアから、それぞれ旗国としての基本設計承認も取得している。
新船型は、貨物槽容積17.4万立方メートルのメンブレン型LNG船で、ブリッジを船体前方に配置することで、ウインドチャレンジャー4基の搭載とその最適配置を両立させた設計となっている。これにより、燃費削減効果の最大化を図る。試算では、1航海あたり最大約30%、年間平均で15~20%の燃費削減が見込まれている。商船三井は本船型の実建造に向けた詳細設計を進行中であり、今回のAiP取得にあたっては、造船所・船級協会・旗国とともに、帆の配置、視界への影響、非常時の操作方法、その他安全対策を含むリスクアセスメントを実施した。
商船三井は、2025年9月9日(火)から12日(金)までイタリア・ミラノで開催される「Gastech Exhibition & Conference 2025」に出展し、同社ブースにおいて同新船型の展示、造船所・船級・旗国との合同によるAiP授与記念式典が予定されている。
同社は「商船三井グループ環境ビジョン2.2」において「2050年までのネットゼロ・エミッション達成」を掲げており、ウインドチャレンジャーはその目標に向けた低・脱炭素技術の一つに位置付けられている。ウインドチャレンジャーは、伸縮・回転が可能な硬翼帆を自動制御することで、航行の安全性を確保しながら燃料消費量と温室効果ガス(GHG)排出量を削減する技術。2030年までに25隻、2035年までに80隻への搭載が計画されており、既に2隻が竣工済みで、今後9隻への搭載が決定している。
情報発表元:商船三井 - ウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)4基を搭載した新船型LNG船での基本設計承認(AiP)を取得 ~HHI・SHIそれぞれとの共同開発~【関連ジャンル】 海運事業者 : 商船三井