画像提供:運輸安全委員会

国の運輸安全委員会は2020年8月27日(木)、商船三井客船のクルーズ客船「にっぽん丸」が2018年12月30日(日)にグアムで起こした岸壁との接触事故について、事故報告書を公表した。この事故は、「ニューイヤー グアム・サイパンクルーズ」で運航されていた「にっぽん丸」が、12月30日(日)夜にグアムを出港する際、岸壁に接触したもの。

事故で「にっぽん丸」は、21時4分にグアム島アプラ港F-4岸壁を離岸した後、同岸壁西方の水域で港口に向けて左回頭中、後進しながら対岸のアメリカ海軍施設であるD桟橋に接近し、21時13分ごろD桟橋のドルフィンに衝突した。「にっぽん丸」は右舷船尾部外板、左舷船尾部外板に破口を生じたが、死傷者はいなかった。また、D桟橋のドルフィンも破損した。

報告書は事故の原因について、船長が左回頭を助長しようとした際にジョイスティック操作を誤り、右舷側一杯に倒すつもりであったところ、船尾側一杯に倒したことが衝突の原因として考えられるとしている。ジョイスティックの操作の誤りは、普段とは異なる立ち位置、体の向きで操船していたこと、操作中に自分の手元や船外表示器を見ることがなかったこと、航海士や水先人の助言の意図が理解できなかったことなどを考えられる理由として挙げている。

なお、事故前の船長の行動として飲酒していたことが明らかとなっており、報告書は、「操船を開始した時点において摂取したアルコールの代謝が完了していなかった可能性が考えられる」としているが、事故発生時に船長が酒気帯びの状態であったか否かを判定するのは困難であり、飲酒の事故発生への関与については、明らかにすることができなかったとしている。


情報発表元:運輸安全委員会 - 旅客船にっぽん丸衝突(係船施設)
 
【関連ジャンル】
 船舶 : にっぽん丸