大阪府吹田市の万博記念公園内に所在する国立民族学博物館は、2025年9月4日(木)から12月9日(火)まで、特別展「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」を特別展示館で開催している。展示は、アジア・オセアニアの舟文化に焦点をあて、同館の収蔵資料を中心に、多彩な舟とその関連文化を紹介する内容。
展示では、人類史における舟やカヌーの出現とその本格的な利用をふまえ、国立民族学博物館が所蔵してきたアジアやオセアニアの海域世界における多様な舟を紹介している。
1階展示では、人類が最初に建造し利用した舟は何かという問いを出発点に、樹皮、草、動物の皮、丸木などの素材を浮力にした舟の事例を紹介。あわせて古代日本の舟として舟形埴輪や出土船材に注目し、北太平洋や南太平洋圏に進出した人類が考案し利用してきた舟が展示されている。具体的には、チチカカ湖のあし舟(ペルー)、牛皮舟(中国)、白樺樹皮のカヌー(カナダ)、カツオ釣り漁のアウトリガー式カヌー(サモア)、インド洋圏のシングルアウトリガー式カヌー(マダガスカル)、島根県のソリコ舟(日本)などが紹介されている。
2階展示では、人々が舟を使ってどのように暮らしてきたのかを取り上げ、舟の建造、推進、漁撈や交易、精神世界における舟の役割に関する資料が展示されている。ポリネシアのカツオ釣り用疑似餌針(ニュージーランド)、ミクロネシアのカツオ釣り用疑似餌針(マーシャル共和国)、舟の建造に使われる貝の斧(ミクロネシア連邦)、木彫の霊舟模型(インドネシア)、トビウオ漁用の釣り仕掛け(ソロモン諸島)、タコとり用の罠(アメリカ・ハワイ)などの資料が紹介されている。
2階の体験・映像コーナーでは、手作りのカヌー模型や櫂、石の斧、カヤックの材料となる皮などを実際に触れる「さわる展示」も実施。航海中の舟から撮影した360度映像をVR視聴機器で体験できるコーナーや、比較的長尺の映像資料を連続上映するセクションが設置されている。。
なお、関連出版物として、特別展図録『舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし』(編者:小野林太郎)が2025年9月4日(木)に国立民族学博物館より発行されている。
観覧料は一般1,200円、大学生600円、高校生以下は無料。障がい者手帳を所持する人とその付添者1名は無料。電子チケットはJTBレジャーチケットおよびアソビューで販売されている。開館時間は10時から17時で、入館は16時30分まで。休館日は水曜日。
情報発表元:国立民族学博物館 - 特別展「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」【関連ジャンル】












