
三菱重工グループの三菱造船は2025年10月23日(木)、独立行政法人国立高等専門学校機構 富山高等専門学校向けの新練習船「若潮丸」の命名・進水式を、山口県下関市にある三菱重工業下関造船所 江浦工場で実施した。
今回進水した新しい「若潮丸」は、1995年に建造された4代目「若潮丸」に続く5代目の練習船で、富山高等専門学校にとっては31年ぶりの新造船となる。三菱造船が同校向けに練習船を建造するのは初めてであり、2026年3月に同校へ引き渡される予定。
新「若潮丸」は、全長約56.3メートル、幅約10.6メートル、深さ約5.8メートル、総トン数約370トンで、定員は約60名。航海速力は12.5ノットを確保し、学生の航海実習や運航・海洋に関する調査研究などの教育活動に用いられる計画。
教育船としての機能強化が図られており、操船シミュレータや実習用配電盤を備えた反復訓練向けの実習環境を整備、加えて、日常的な磨き作業を必要とする木甲板を採用することで整備技能の習得を促し、主機室と発電機室を分離することで、音や振動の違いを体感できる構造を採用している。
災害時には船上基地局の運用、給水・給電、物資輸送、居住設備の提供などが可能な災害支援船としての機能も備え、平時のみならず緊急時の対応にも配慮された設計となっている。
また、世界的にも珍しい地形を持つ富山湾での海洋調査・研究に対応するため、各種音響観測機器やAフレームクレーン、観測ウインチなどの海洋観測設備を搭載しており、実践的な海洋科学教育にも対応している。
なお、1995年に美保造船で建造された現行の4代目「若潮丸」は、全長53.59メートル、総トン数219トンで、富山高等専門学校の学生による航海実習や富山湾での海洋調査に長年従事してきた。
情報発表元:三菱重工業 - 三菱造船、富山高等専門学校向け練習船「若潮丸」の命名・進水式を下関で実施【関連ジャンル】 造船メーカー : 三菱重工業 下関造船所