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海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2025年9月24日(水)、地球深部探査船「ちきゅう」を用いて達成した総ドリルパイプ長7,906mの掘削記録が、「最も深い海洋科学掘削」としてギネス世界記録に認定されたことを発表した。
この記録は、2024年12月20日(金)に終了した国際深海科学掘削計画(IODP)第405次研究航海「日本海溝巨大地震・津波発生過程の時空間変化の追跡(JTRACK)」において、太平洋プレートとその沈み込み帯である日本海溝周辺を対象に実施された掘削調査によるもの。「ちきゅう」は水深6,897.5mの地点で海底面下980mまでを掘削し、総ドリルパイプ長7,906mに到達。これまでの海洋科学掘削における世界最長記録を更新した。
この掘削では、「掘削同時検層」と呼ばれる技術を用い、地層の物性データの高精度な取得を実現、加えて、C0019地点では断層帯の温度変化を長期間にわたって観測可能とする長期孔内温度計測システムの設置に成功し、巨大地震発生後の断層帯周辺における応力の蓄積状態や流体構造の解明に資する貴重なデータを取得した。
ギネス世界記録の公式認定は、海洋研究開発機構と「ちきゅう」を運航する日本マントル・クエスト株式会社の連携により実現した成果として認定され、2025年9月24日(水)には認定証の授与が行われた。式典では、ギネス世界記録公式認定員の立ち会いのもと、日本マントル・クエストの石黒社長と海洋研究開発機構の大和理事長が認定証を受け取った。
同航海は、2011年3月の東日本大震災を引き起こした地震断層の構造や変化を調査する国際的な研究プロジェクト「JTRACK」の一環として、2024年9月6日(金)に開始された。調査はJFAST計画で掘削された海域を再訪し、断層帯の変化や応力の分布、断層強度の回復過程などを解明するために実施され、断層帯上盤から下盤までを貫通する一連の高品質なコア試料の採取にも成功している。
情報発表元:海洋研究開発機構 - 「最も深い海洋科学掘削:Deepest scientific ocean drilling」ギネス世界記録認定について【関連ジャンル】 船舶 : ちきゅう 海運事業者 : 海洋研究開発機構