海上保安庁は2026年1月28日(水)、国際水路機関(IHO)とユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)が共同で設置する海底地形名小委員会(SCUFN)の会議で、日本が提案した海底地形名9件が承認されたと発表した。会議は11月10日(月)から14日(金)まで、インドネシアのバリ島で開かれ、審議結果は1月23日(金)に公表された。

承認された9件は、沖ノ鳥島南南東約400kmのパレスベラ海盆にある海底地形に付けられた名称で、同海域の海洋調査に従事した日本の海洋調査船の船名に由来する。由来と船名と地形名は、海洋研究開発機構の「かいれい」に由来する名称が「西かいれい海陵」と「かいれい海山」、同機構の「よこすか」に由来する名称が「西よこすか海陵」と「よこすか海陵」、洞海マリンシステムズの「あせあん丸」に由来する名称が「あせあん丸海陵」、深田サルベージ建設の「新潮丸」に由来する名称が「新潮丸海陵」と「南新潮丸海陵」、日本大陸棚調査の「大陸棚」に由来する名称が「大陸棚海山」、海上保安庁海洋情報部の測量船「拓洋」に由来する名称が「拓洋海嶺」となる。

海上保安庁によると、これらの海洋調査で得られた成果に基づき国連の大陸棚限界委員会で審査が行われ、これまでに約30万平方キロメートルの海域が日本の延長大陸棚として設定されている。

SCUFNは、地図や海図、論文などで使われる世界の海底地形名を標準化する学術的な委員会で、各国の地質学、地理学などの専門家12人で構成される。海上保安庁海洋情報部の小原泰彦海洋研究室長が2023年末から議長を務めている。海底地形名は、近傍の陸上地名のほか、発見に関係した船名や機関名、海洋学に貢献した故人に因む名称などを付けられるとしている。日本は、地質学、地理学、史学などの有識者で構成される検討会での検討を経て提案を行っているという。

海上保安庁は、今回命名された海底地形はいずれも海洋コアコンプレックスと考えられるとしている。パレスベラ海盆では過去にプレート運動に伴う海底拡大が起き、海底面に大規模な正断層が生じる過程で、マントル物質などの地下深部物質が露出してドーム状の高まりが形成されることがある。このドーム状の高まりが海洋コアコンプレックス、またはメガムリオ ンと呼ばれ、表面に畝状の構造を持つことが特徴だとしている。

命名の由来となった各船の調査では、海洋研究開発機構の「よこすか」は2000年にマルチビーム音響測深機による地形調査を行い、複数の海底の高まりの表面に畝状構造があることを明らかにした。同機構の「かいれい」は2003年にマルチビーム音響測深機で当該海域の地形データを取得し、かんらん岩と斑れい岩の採取を通じて海洋コアコンプレックスの存在を物質面から確定したとしている。

また、「あせあん丸」「新潮丸」「大陸棚」は、11月から翌年1月にかけて地殻構造調査(地震探査)を実施し、当該海域の地殻構造を明らかにしたとされる。「新潮丸」と「あせあん丸」が海底地震計の設置と回収を担当し、「大陸棚」がエアガンによる地震探査の音源発震を行った。

海上保安庁海洋情報部の「拓洋」は、本邦初のマルチビーム音響測深機搭載船として1983年に就航し、大陸棚調査の主力船として運用されてきた。1990年代の地形調査で当該海域の複数の特殊地形が初めて認識され、その後の詳細な調査により複数の海洋コアコンプレックスであることが確認されたとしている。さらに「拓洋」は1984年にマリアナ海溝チャレンジャー海淵をマルチビーム音響測深機で精査し、水深10920mを確認したとし、この値がIHO/IOC海底地形名集でチャレンジャー海淵の水深として採用されている。

今回承認された海底地形名は、IHO/IOC海底地形名集に掲載され、地図や海図、論文などで用いられることになるとしている。


情報発表元:海上保安庁 - 我が国の大陸棚延長に貢献した海洋調査船が海底地形名に!
 
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