画像提供:防衛省

防衛省は2024年8月30日(金)、令和7年度予算の概算要求の概要を公表した。この中で、海上自衛隊の艦艇における衛星通信網の整備方針に関して、要求予算の詳細とともに明らかにしている。

公表によると、海上自衛隊の水上艦艇において業務用通信の補完として利用する「商用低軌道衛星通信」に必要な器材等の整備に6億円の予算を要求している。要求概要の中で、「商用低軌道衛星通信」の契約内容については明示されていないが、KDDIが2024年5月にも、海上自衛隊の練習艦「かしま(TV-3508)」、「しまかぜ(TV-3521)」の2艦にStarlink(スターリンク)の海上向けサービス「Starlink Business マリタイムプラン」を導入したことを公表しているほか、2027年までに海自艦艇の9割にStarlink導入を目指していることもこの際に明らかにされていた。

今回公表された令和7年度予算の概算要求では、2024年度は「Starlink」を導入した練習艦2隻を含む16隻に、2025年度は48隻分に必要な経費を計上し、2028年度までに主要艦艇への搭載を完了させる見込みとしている。また、器材等の整備として計上されている6億円のほか、「商用低軌道衛星通信網を活用して、隊員と家族との連絡・インターネットの閲覧等を可能とする通信環境を構築するための電子家庭通信装置の改修」など、「艦艇の通信環境の改善」を目的とした費用として別途4億円も計上されている。

この「艦艇の通信環境の改善」を目的とした4億円の予算の中には、「商用低軌道衛星通信」の利活用に関するものとは別に、ラジオ・テレビ受信装置を改修して居住区画においても視聴できるよう無線LAN環境を構築すること盛り込まれている。このラジオ・テレビ受信装置は、隊員が家族と連絡を取るための装置である「電子家庭通信装置」と接続を可能にし、居住区画においても隊員個人の携帯電話からメールの送受信が可能となるようにする方針。また、潜水艦にも、隊員が家族と連絡(メール受信のみ)を取るための電子家庭通信装置を整備する方針となっている。


情報発表元:防衛省 - 防衛力抜本的強化の進捗と予算-令和7年度概算要求の概要-
 
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