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佐渡汽船は、2026年4月1日(水)の運賃改定に向け、2025年11月20日(木)付で北陸信越運輸局に一般旅客定期航路事業に係る運賃上限変更認可申請書を提出し、手続きを開始した。認可取得後、上限運賃の範囲内で実際に利用者から収受する設定運賃の届出を行う予定。今回、同局によるパブリックコメントの実施に伴い、12月23日(火)に新設定運賃の内容や改定理由を公表された。

佐渡汽船は新潟県本土と佐渡島を結ぶ定期航路事業を担い、1996年の上限運賃改定以降、消費税率引き上げを除き約30年間にわたり運賃体系を据え置いてきた。一方で、燃料油価格の高騰を受け2006年に燃料油価格変動調整金制度を導入し、2023年には貨物運賃にも同制度を適用するなど対応を続けてきたが、利用者数の減少は止まらず、2019年には寺泊〜赤泊航路を廃止した経緯がある。さらに2020年には新型コロナウイルスの影響で輸送人員が76万人、自動車航送換算台数が17万2千台まで落ち込み、債務超過に陥るなど経営環境は厳しい状況となった。

こうした状況を受け、同社は2022年にみちのりグループの一員となり、新経営体制の下で事業再生に向けた改革を開始、2023年には連結子会社4社を吸収合併し、一体経営による業務効率化や割引制度の見直しを進めた結果、2024年には輸送人員が127万3千人、自動車航送換算台数が22万5千台まで回復した。

一方、近年は船舶修繕費や原材料費、人件費、エネルギーコストの上昇が続き、運航コストは増加傾向。加えて、借入金返済や船舶・設備の維持更新、人手不足対策、安全対策を進めながら航路を維持・継続する必要があることから、今回の運賃改定申請に至ったとしている。

新運賃の代表例では、新潟航路のジェットフォイル旅客運賃が現行7,060円から7,970円に、カーフェリー2等が2,970円から3,290円に改定され、直江津航路のカーフェリー2等は3,180円から3,530円となる。利用者の多い等級については改定率を抑制し、カーフェリー2等は11%、ジェットフォイルは13%の改定率とした。自動車航送運賃では、4メートル以上5メートル未満の車両について新潟航路で18,520円から19,260円、直江津航路で20,080円から20,880円とし、改定率はいずれも4%に設定。二輪車運賃についても同様に4%の改定率とした。

一方、島民旅客運賃については引き下げを実施し、新潟航路のジェットフォイルが3,600円から2,790円、カーフェリー2等が2,050円から1,240円となるなど、負担軽減を図る内容としている。燃料油価格変動調整金については、2026年4月の新運賃適用時点では一旦ゼロ円とする方針で、今後の燃料油価格動向により再度案内するとしている。

また、運賃改定とは別に、観光需要に応じた季節変動制運賃の導入を検討しており、開始時期や詳細は決定次第公表する予定。貨物運賃については、燃料油価格変動調整金を運賃に含めるのみで、実質的な値上げは行わないとしている。


情報発表元:佐渡汽船 - 運賃改定の申請について
 
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