画像提供:JAMSTEC

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、2025年12月17日(水)から2026年1月23日(金)まで、海底広域研究船「かいめい」を用いてKM25-12航海を実施する。調査海域はマリアナ海溝周辺で、サンプルリターンの対象水深は10,929m、海底下40mに及ぶ。

同航海では、マリアナ海溝の最深部に位置するチャレンジャー海淵およびシレナ海淵において、ジャイアントピストンコアによるサンプルリターンを実施し、海洋サンプルリターンの世界最深記録の更新を目指す。記録の更新が達成されれば、極限環境下に生息する微生物生態系の発見も見込まれ、さらに高圧条件や高アルカリ性条件での微生物の増殖記録更新にもつながる可能性がある。

加えて、同航海では2023年に「よこすか」と「しんかい6500」を用いた調査航海で新たに発見された南部マリアナ海溝アウターライズ域の低温熱水活動に着目し、同様にジャイアントピストンコアによるサンプルリターンを実施する。これにより、当該海域で進行中の化学反応や物質循環、生命活動の詳細な解明を図る。

さらに、マリアナ前弧・島弧・背弧域に点在する深海熱水域や蛇紋岩化流体湧水域において、無人潜水機(ROV)
ジャイアントピストンコアを用いた調査を実施し、未知の化学合成生物の発見およびその適応・進化の仕組みへの理解を深める。マリアナ海溝前弧にある蛇紋岩海山では、これまでの記録を上回る高アルカリ性環境下で増殖する微生物の世界記録更新も視野に入れている。

航海全体を通じて調査対象となるのは、マントルや地殻深部から湧き出す水「モホウォーター」と、これを起源とするとされる極限環境生態系「モワーム」。KM25-12航海では、多様な環境下でモホウォーターがもたらす影響や、それに支えられた生物圏の構造と機能に迫る。

マリアナ海溝からの世界最深サンプルリターンの模様は、2026年1月2日(金)に研究船からライブ配信される予定。


情報発表元:海洋研究開発機構 - 超深海サンプルリターン2025
 
【関連ジャンル】
 船舶 : かいめい
 海運事業者 : 海洋研究開発機構