画像提供:運輸安全委員会

運輸安全委員会は2020年2月27日(木)、函館港に係留中の「ナッチャンWorld」で2018年10月に発生した潜水士死亡事故について、事故報告書を公表した。

この事故は、2018年10月2日(火)15時10分ごろ、潜水して「ナッチャンWorld」右舷船尾船底部の清掃作業を行っていた潜水士1人が、同船のトリムタブ装置の翼とウォータージェット推進器との間に挟まれて死亡したもの。当該潜水士は、肋骨多発骨折、肝破裂、右肺挫傷による外傷性ショックにより死亡した。

今回公表された事故報告書によれば、同時間、トリムタブ装置の翼が自重で下降した状態で船尾部の係船索の緩みを取る作業が行われていた。航海士、乗組員がこの緩みを取る作業の際、制御装置の「スナップスイッチ」がノーマルの位置で電動油圧ポンプを始動させたが、これにともなってトリムタブ装置の翼が上昇、潜水士は翼と右舷側のウォータージェット推進器との間に挟まれた。「スナップスイッチ」がノーマルの位置で電動油圧ポンプを始動すると、トリムタブ装置の翼が上昇することは、当該航海士、乗組員に周知されていなかったという。

報告書は、周知不足に加え、係船索の緩みを取る作業は、本件作業を行っている潜水士を陸上に退避させた上で安全を確認して行うことにより、今回の事故の発生は防げたものと推定できると指摘している。再発防止策として、手順書の作成や周知徹底などを求めている。


情報発表元:運輸安全委員会 - 旅客船兼自動車渡船ナッチャンWorld潜水士死亡
 
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